車を売るときの任意保険の手続きについてですが、あなたが車を売ったあとにどうしたいかで手続き方法は変わってきます。
主な任意保険の手続きは、
- 車を乗り換える⇒任意保険の車両入替手続き
- 車は売るが将来的にまた乗りたい⇒任意保険の中断証明書の発行
- 車を売り今後車を運転する予定は無い⇒任意保険の解約か名義変更
この3通りの手続きに分かれます。
車を売って新しい車に乗り換える場合
現在乗っている車を売却し、新しい車を購入して乗り換える場合は、任意保険の車両入替手続きが必要になります。
任意保険の車両入替のタイミング
任意保険の車両入替のタイミングは納車前がベスト。
任意保険の変更手続きでは、納車日の設定が行えます。納車日を設定しておくことで、納車当日から任意保険の切り替えが自動で行われ、保障が切り替わります。
事前に保険会社への手続きが完了していれば、納車当日にこちらから保険会社へ連絡する必要もありません。
任意保険の車両入替の猶予は?
「車を乗り換えたが車両入替の手続きを忘れていた!」ということもあるかと思います。
任意保険の車両入替の手続きが完了していないのに事故を起こした場合、保険による保障が受けられないかといえばそうではありません。
通常、自動車保険には「被保険自動車の入替における自動担保特約」という特約が付けられています。
この特約が適用される条件を満たしていれば、車両入替前の事故に対しても保障を受けることができます。
また、この特約により新しい車を取得した翌日から30日以内であれば、車両入替の手続きを行うことができます。
注意!
30日以内といっても、「納車日」からではなく「取得日」です。自動車を所得した日は車検証に記載されていますので、きちんとチェックをしておきましょう。
特約の適用条件について
「被保険自動車の入替における自動担保特約」を適用するには、以下の条件を満たしている必要があります。
新しく購入した車が自家用8種であること
特約を適用するには、新しく購入した車の用途が自家用8種であることが条件となります。自家用8種については下記のリンク先で確認をしてください。
参考:「自家用8車種の自動車」とは、どんな種類の自動車ですか?【損保ジャパン日本興和】
古い車を手放していること
特約の適用には、車両入替前の契約車両を手放していることが条件です。
新しい車の名義変更が、売却した車の譲渡日よりも早い場合には適用されません。短い期間であれ車を2台所有していたとみなされるためです。
この場合は、2台分の自動車保険の加入が必要となります。
特約には、旧車両が廃車・譲渡されたという事実が必要となりますので注意をしてください。
入替後の所有者が契約前の車両と同じこと
入替後の車の所有者が、次いずれかに該当していることが条件となります。
- 入替前の車の所有者
- 入替前の契約の記名被保険者
- 入替前の契約の記名被保険者の配偶者
- 入替前の契約の記名被保険者または、その配偶者の同居の親族
任意保険の車両入替に必要な書類
新しい車の車検証(コピーでも可)は必ず必要となりますので、購入した販売店からFAXを送ってもらうようにしておいてください。
また、保険会社によっては、古い車と新しい車(中古車を購入した場合)の積算距離(走行距離)が必要となる場合もあります。
古い車の走行距離などは、売ってしまってからでは調べようがありません。必要書類や必要情報は事前に代理店に確認をしておくようにしましょう。
車は売ってしまうが将来的にはまた購入する予定がある
「車は売却してしまうが将来的には車を購入してまた運転する予定がある」、または「車を売ったあとどうするか分からない」場合です。
このような場合は、任意保険の中断手続きをしておくようにしましょう。
保険の中断制度とは
任意保険の中断制度とは、乗っている車を手放すことで保険を中断(解約)することになったとしても、これまでの等級を将来的に車を購入した際に引き継げるという制度です。
もちろん、保険を中断している期間には保険料は発生しません。車を廃車にする場合も同様です。
自動車保険は再契約すると、改めて6等級からのスタートとなります。そのため、7等級以上の等級をもっているのであれば、保険の中断手続きをしておいたほうがお得となります。
最長で10年間の間、保険の中断は可能ですので、7等級以上の高い等級を持っている場合は、中断手続きをしておくことをおすすめします。
中断手続きができる条件
保険の中断手続きができる条件には、
- 解約日および満期日までに返還手続きが完了していること
- 解約日および満期日までに車検証の有効期限が切れ、車検を継続していないこと
- 中断時点での等級が7等級以上であること
などが主な条件となります。
しかし、保険会社によって条件は異なりますので、契約中の保険会社に条件等は確認するようにしてください。
また、再契約についても「新しい車を納車してから1年以内の加入」など条件がありますので、同様に確認しておくことをおすすめします。
中断手続きに必要なもの
中断手続きには、
- 保険会社が発行している中断証明取得依頼書
- 自動車保険証券
- 車両の廃車や譲渡、返還などが証明できる証明書
が必要となります。
中断手続きが必要ないケース
中断手続きはあくまで、現在7等級以上の等級であった場合にお得になる手続きです。
現在、6等級以下の場合には中断手続きは必要ありません。
保険の解約後、13ヶ月が経過すると新規契約となり6等級からのスタートです。そのため、5等級以下の低い等級なのであれば、解約して新規契約をしたほうがお得となります。
※13ヶ月以内に新規に保険に加入すると、以前の等級を引き継いでしまうので注意してください。
車を売却し、今後は車を運転する予定は無い
高齢者の自主免許返納などを機会に、車を売却する場合もあるかと思います。そのような場合は、使用する予定の無い任意保険は解約することになります。
しかし、自分が持っている等級は家族に譲渡することも可能です。
等級の高い人が車に乗らなくなる場合は、等級の低い家族に自分の等級を譲渡して保険料を安くすることができるということです。
よくある例としては、「自分は高齢になりもう車は乗らないが、ちょうど息子が車の免許を取り車を購入する」という場合などです。
息子さんが新規に保険に加入すると6等級からスタート。父親は20等級という場合では、保険料の割引率がかなり違います。
等級割引のイメージとしては、初期段階の6等級では約20%弱の割引率。最高等級の20等級では、40~60%超の割引率。
父親が高い等級を持っていた場合には、息子さんに等級を譲渡することで保険料をかなり節約できるということです。
また、条件を満たしていれば、子供に限らず家族や親族に対しても等級の譲渡は可能です。
この方法は、保険業界では「吐き出し」「押出し」などと呼ばれています。
等級の家族間譲渡ができる条件
保険料の節約のための等級の家族譲渡には条件があります。
配偶者か同居の親族である
等級の譲渡(付け替え)は、配偶者もしくは同居の親族にしかすることができません。
詳しくは、
- 契約者の配偶者(内縁関係でもOK)
- 契約者と同居している親族
- 契約者と同居している配偶者の親族
となっています。
たとえ配偶者の子どもであっても、同居していないと等級の譲渡はできないということです。
将来的に車を乗らなくなる可能性があるのであれば、子どもが同居しているうちに等級の譲渡をしておくということもひとつの方法です。
車両の交換では適用できない
基本的に等級の譲渡は、同世帯で使用する車の増減があった際に利用できる制度です。
- 車を新しく購入する
- 今ある車を廃車にする
など、家族が所有する車の台数に変化がある場合です。
ただ単に、父親の20等級と息子の6等級を交換するなどということはできないということです。
任意保険は適切な手続きを
任意保険の手続き、特に車両入替の手続きなどは早めに行うようにしましょう。
あやまって事故などを起こした際に、保険による保障が受けられず大変なことになる場合もあります。
車の買い替え、売却の際には事前に保険会社へ連絡を入れ、どのような手続きが最適かのアドバイスを受け、トラブルを未然に防ぐことが大切です。